「もし注文が入っても、尻尾振って受けたらあかんど」 キャッシュフローを改善する
(Vol.539/607)
朝ドラ「まんぷく」
苦心して開発したまんぷくラーメンですが、
テレビCMが反響を呼びデパートの催事で
バカ売れ状態となりました。
ドラマの視聴者はこれまでの苦労を
知っているので一安心です。
さて、浮かれた立花家でしたが、
世良さんからこんな助言がありました。
(世良)
そんな浮かれてる場合やないど。座りいな。言うたやろ。百貨店や商店街で売れただけやったら、どうにもならんのや。問屋からバンバン注文が入ってこんことには まんぷくラーメンは世の中には広まらん。(鈴さん)
何で注文入ってこうへんの。(世良)
まあ、様子見しとるんやろな。(真一)
そしたら、そのうち注文は入る。(世良)
もし注文が入っても、尻尾振って受けたらあかんど。(福子)
どういうこと?(世良)
「現金決済しか受け付けん」って答えるんや。業界の慣習では、2ヶ月から3ヶ月の手形決済が普通や。せやけど、いま、まんぷく食品には資金がない。(真一)
確かに。(世良)
ラーメン作り続けるには現金が必要やな。そうやろ。(真一)
分かった。現金決済のみの出荷にしよう。
自分で会社を経営している
世良さんの指摘は的確ですね。
つまり、「資金繰りを考えろ」
と言っているわけです。
まんぷくラーメンは、
萬平さんが無職になって、
限られた資金を元手にして開発されました。
まんぷくラーメンを開発してからも、
催事のために大量の在庫を用意するため、
たくさんの資金を使っています。
ましてや、テレビCMにも
お金を投下しています。
売れたと言っても、
じつは、いまが資金繰り的には
一番きびしい状況
ではないでしょうか?
一般的に事業を始めたときは
もろもろ支払いが先行します。
売上があがるのは、もちろんそのあとです。
そして、現金売上以外だと
資金の回収までに、
さらに一定の時間がかかります。
そうして手元に資金がなくなると、
商品の仕入れも滞ります。
たとえ、売上が好調だとしても
キャッシュフローが回らなければ、
そのうち会社はたちゆかなくなります。
最悪、「黒字倒産」
ってこともありえますからね。
経営が安定しない状況では
資金繰りの視点はきわめて重要です。
まんぷくラーメンは人気が出たため、
「現金決済」「前払い」という
強気な条件を出せました。
けれど、通常は力関係などにより
決済条件は決まります。
であれば、その状況を鑑みて、
資金繰りを考えなくてはいけません。
回収を早める努力も必要でしょうし、
金融機関から融資で資金を調達する
必要もあるかもしれません。
まんぷく食品は、世良さんや
信用組合にいた真一さんが
先を見据えたキャッシュフロー経営を
社長の萬平さんに変わって
手伝ってくれます。
ですが、中小企業には普通
そういう人はいません。
であれば、社長自身が勉強して身につけるか、
そこをサポートしてくれるパートナーを
みつけるしかありません。
いづれにしても事業を継続する限り、
「お金を回し続ける」という
視点は忘れてはいけません。
本日も最後まで読んで頂き、
ありがとうございました。
税理士 / キャッシュフローコーチ
齋藤泰行(さいとうやすゆき)
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メール:info@saito-tax.com