上様の領収書は認められるのか?
領収書の宛名が「上様」となっているものがあります。ちゃんとした社名でないと、認められないのでしょうか?
法人税、所得税はあまり問題にならない
基本的に、法人税や所得税の所得の計算計算上、領収書の名義はなんであれ、あまり問題になることはないと思います。少なくとも、私が立ち会った税務調査で領収書の名義についてが、論点になったことはありません。
もちろん、その領収書が偽造したものであれば話は別です。通常は先方が料金を受け取ったことを証明するための書類ですから、名義によってその効力が変わるものではありません。
「社内ルール」はまた別の話
とはいえ、社内ルールとして名義を正式名称にすることになっている場合は、ルールに従いましょう。
これは、領収書が有効かどうかというお話ではなく、社内の経費精算の不正を防ぐための意味合いだからです。だれの経費かわからないものを会社は精算できません。
消費税には注意が必要
ところが、消費税には注意が必要です。
消費税の計算上、一定の領収証や請求書を保存しないと仕入税額控除(支払った消費税を相殺できる仕組み)が認められません。
この保存すべき領収書は、①交付する者の氏名・名称、②年月日、③商品やサービスの内容、④取引金額、⑤交付を受ける者の氏名・名称、が記載されている必要があります。
したがって、上様の領収書は上記⑤の記載がないため、消費税の仕入税額控除が認められない可能性があるのです。
むすび
「上様」の領収書は、比較的金額の安いものが大半です。ですから、税務調査では効率の観点から、あまり問題にならないことが多いようです。
しかし、前述のように消費税には注意が必要なことを忘れてはいけません。消費税のリスクがあることを念頭において、領収書の宛名のポリシーを決めておきましょう。